認知症の人の葛藤に学ぶ(精神医学の知と技)

認知症を解決すべき問題としてではなく、「生きる営み」としてとらえ直す(「はじめに」より)
繁田雅弘
304頁
四六判 上製
定価: 3,520円 
在庫: 在庫有り
発行: 2026/04/14 ~
ISBN: 978-4-521-75170-2

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長年、認知症の研究に従事してきた著者が、難しいといわれる「認知症の精神療法」について、その意義、留意点、実践方法を語る。
精神療法を用いた、著者と認知症の人・家族の対話は22例を収載。それぞれの認知症の人・家族が抱く想い・葛藤と、その人たちを支え、本人らしくあってほしいと願う著者の想いが満ちており、心を揺さぶられる。
認知症の人にかかわる全ての人にお勧めの1冊。

目次

はじめに

序章 
 一 聴くことの意義
 二 心情への寄り添い
 三 認知症の人への支持的精神療法
 四 非薬物療法としての支持的精神療法
 五 認知症医療とケアの最終目標

第一章 認知症の人における精神療法の留意点
 一 支持的精神療法の意義
 二 受診への抵抗
 三 初対面から初期診療へ
 四 病感・病識を把握しながら
 五 認知症の人が望む告知とは
 六 告知から治療導入へ
 七 再診の留意点
 八 認知症の行動・心理症状(BPSD)とみなす前に
 九 認知症の人の精神的苦痛
 十 傾聴はニーズへの応答である
 十一 あらためて共感とは
 十二 高度の認知症の人との対話
 十三 それぞれの認知症における心理的支援

第二章 対話例からみた精神療法の実践
 一 症例
 二 対話の継続をめぐって

第三章 精神疾患を対象とした精神療法の知見を参考に
 一 認知症に試みられている精神療法とは
 二 精神療法の共通要因
 三 折衷的アプローチ
 四 治療効果に寄与する共通要因
 五 認知超にも有効な支援的要素
 六 自身の変化への気づき
 七 「自然回復」を促す要因

第四章 認知症基本法から医師決定支援へ
 一 認知症基本法と基本計画 
 二 共生社会とは
 三 人権に基づいたアプローチ
 四 認知症観の変化が医療にもたらす影響
 五 根拠に基づく医療(EBM)
 六 共同意思決定(SDM)とは
 七 SDMによる患者主体の医療
 八 SDMと倫理原則
 九 SDMを難しくする要因
 十  意思決定の四類型 
 十一 意思決定支援のためのガイドライン

第五章 意思決定場面における対話
 一 認知症治療薬の内服・点滴をめぐって
 二 抗Aβ抗体治療薬の情報提供と意思決定支援
 三 抗精神病薬の処方と説明
 四 運転免許にかかわる心理的抵抗
 五 子との同居
 六 認知症医療とケア現場は意思決定の連続である
 七 施設入所における自己決定と日本的幸福観

第六章 死と孤独
 一 希死念慮(自殺念慮)
 二 孤立と孤独・孤独感
 三 高齢者における死の意味づけについて

第七章 家族
 一 いのちの授業で教えられた家族の本来

結語にかえて-認知症の受容をめぐって-
 一 サクセスフル・エイジング

あとがき-認知症からの解放-

〈付録〉 認知症対策